2015/02/24
The Hang Ups
The Hang Ups / He's After Me (Clean / 1993)
アメリカはミネアポリスのバンド、ハング・アップスが93年にリリースした1stアルバム。世間的には青春してる2ndが人気でギターポップのマスターピースになっている。言うまでもなく2ndは素晴らしい名盤だけど、ここ2年くらいはこの1stばかりリピートしています。シンセとか打ち込みとか多様なアレンジが施された音楽も好きだけど、そういうのを聴いた後って、やっぱりシンプルなバンドサウンドが聴きたくなるんですよね。
最初聞いた時の印象は地味だなぁということ。おそらく人によっては即中古屋行きですね。メロもそんなに強いわけではないし、これといったキラーチューンは1曲目くらいかもしれない。でも音数が少なくてシンプルなメロディ構成、クリーントーンで時折被さるノイジーなギターはここでしか聴けないもの。そして2ndよりも音に透明感があり、それでいて寂しい曲が多いのが、耳に引っかかった要因なんだと思います。そしてこの音の隙間が、虚しさや切なさを生んでいるのです。
1曲目は2ndの日本盤のボーナストラックとしても収録された、このアルバムのリード曲とも言えるナンバー”Waiting”。こっちのオリジナルヴァージョンのほうがノイジーでアップテンポだったりして、個人的に好きだったりします。La'sの"There She Goes"なメロディで、思わず頬がゆるんでしまう。2曲目の"He's After Me"は彼らの楽曲の中でも特にシリアスなロックナンバー。最初聞いたときは全然好きになれなかったけど、今聞くとクールでかっこいい。これがリリースされた93年はグランジが流行っている頃で、その影響がアルバム全体にも、特にこの曲から感じます。
3曲目の"Sleepy"は虚しさが滲み出てる切ない1曲だし、それに通じる9曲目の"Hit the Ceiling"もすばらしい。なんてことない曲だけど、歌い出しからして頭から離れない泣きのフックラインが印象的。心にぽっかりと穴があいたような空虚感。でもそこに悲しく響くギターのアルペジオがさらに胸を締め付けます。6曲目の"Curtis"はアルバム中一番ノイジーなんだけど、あくまでも爽やかさをキープしているのがたまらない。それにしてもボーカルのブライアンの美しいハモリはこの頃から確立されてるんですね。まぁ2ndではこのコーラスワークがさらに開花するんだけども。
ラストの"Runway"で明るく、未来に繋がっていく感じもいい。Runwayって滑走路って意味みたいだけど、まさにこのアルバムから飛び立って、雲突き抜けて、あの名曲、"Top of Morning"に辿り着くわけです。思えばTop of Morningのシングルのジャケットは飛行機だったなぁと今さら気がつきました。
彼等が飛び立つ前の、瑞々しくも青い世界が広がるアルバムです。
追記:そうそう彼らは過去にラズベリースのトリビュートに参加していて、これが1stに通じるシンプルさで、とっても良いんです。→ Listen !
Listen(He's After Me) Bandcamp(Self Titled Album)
2015/02/22
Twerps
「私のこと、頭の隅っこに置いておけ!」なんて卒業アルバムの後ろのページに書いてくれた、同期生の女の子。人の記憶は不思議なもんで、20年以上経ってるのに本当に頭の隅っこにその子がいるんです。友達でもなく、同じクラスだったわけでもなく、卒業間近、ふとしたキッカケでよく話すようになったんだけども。妙に記憶に残る、面白い人でした。
彼らもそういう意味での隅っこなのかも。音的に特に新しいことをしてるわけでもなく、表舞台には立たない、地味かもしれないけど、確実にいい曲を書いているバンド。なんだかんだ頭の中にこびりついてしまって、リピートしてしまう人懐っこいメロディ達。オーストラリアはメルボルンのバンド、トゥワープス、(おそらく)2枚目のアルバム。先行シングルの3曲目、"Back to You"を聴いて一発で気に入ってしまい、アルバムの発売を心待ちにしていました。懐かしさが込み上げてくるジャングリーなギターポップが心地よいです。
1分足らずの静かなインストで幕を開け、ヨラテンゴのような、徐々に歩みを進めていく展開のミディアムナンバーの2曲目"I Don't Mind"。シングルになった大好きな3曲目、"Back to You"はTully CraftとかLunchboxみたいな、90年代半ばにたくさんいたインディ・バンドを思いだす、青春疾走ギターポップ。少しおとぼけた感じの可愛らしいキーボードが楽しい1曲で、センスあるPVもミニマルな風景の切り取り方が面白くて見応えがあります。4曲目の"Stranger"は女性ボーカルをフィーチャーした、これまたハジけた田舎風ギターポップ。切ないメロディとギターが印象的な5曲目"New Moves"も耳に強く残る、1stの流れを汲むメランコリックな佳曲…とアルバムとしての流れは完璧で、後半も疾走感とゆるい曲がバランスよく配置されています。
彼らはCleanやFeeliesの影響を受けたサウンドと評されているけど、僕にはPastelsを始めとする初期のCreationから、自分が90年代にリアルタイムで通って来た、Magic Marker、Harriet、Slumberlandなんかのインディレーベルにも通じるサウンドだと思いました。要は90年代っぽさってことなんだけども。メンバー構成からして同郷のGo-Betweensとダブらせてしまうのも間違いではないと思います。
前作はもっとリヴァーブがかかっていて、初期Real Estateみたいな音だったんだけど、今回は彼らの住むメルボルンの空気がそのままダイレクトに伝わってくるよう。メルボルンはのんびりしていて、緑豊かで多様な文化が根付いている、住みやすさナンバーワンとも言われている都市。それって彼らの音にもアートワークにも表れている気がします。そうそうこのジャケット、メンバー写真の周りのペインティングがユニークで目をひくね。あとは単純に曲が良いし、聴きやすくなったんです。粒ぞろいの曲が詰まっているところも、このアルバムの特筆すべき点だと思います。
隅っこにいるからこそずっと記憶に残る、素晴らしいアルバムです。
Listen Label Site
2015/01/19
Top 10 albums&singles of 2014

Top 10 albums&singles of 2014
2014年によく聴いた作品を振り返ってみました。先にこちらのサイトでも書いていますが、自分のブログでも改めてまとめ、今回シングルも10枚選んでみました。
…ということで、まずはアルバムから。
10. Oeil / Myrle (Self Release)
フィジカルリリースは7年ぶりになる、日本のシューゲイズ・バンドのミニアルバム。メンバーチェンジが何度かあったので少し心配だったけど、ライヴは続けてやっているみたい。僕は日比野さんのセンスあるギターが好きなので、こうやってまた新曲が聴けた事がとても嬉しかったし、変わらずの王道シューゲイズが素晴らしい。ピコピコ音が入った後期SwayみたいなオープニングやCaptured Tracksの影響がストレートに伝わるギターポップも良いけど、やっぱり後半で聴けるマイブラ〜ライドなストレートなシューゲイズサウンドに惹かれます。いつとは言いません、フルアルバム出して欲しいです。
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9. The Pains of Being Pure at Heart / Days of Abandon (Yebo Music)
「僕はもう音楽を生業にして生きて行くんだ。たとえ一人になっても…」(勝手に想像)という決意を感じさせる3作目。そんな気持ちで臨んでいるからなのか、楽曲は文句なしの充実度。飽きさせずに最後まで聞かせるソングライティングとアレンジ力はお見事。ギターだけではなく、メロディそのものがキラキラと輝いているよう。雨後のタケノコのように出てくる同型バンドと比べても、やっぱりソングライティングでは負けてないですね。元々はメンバーのバースデーで好きに演奏して楽しんでいたのが、老舗インディ・レーベルと契約し、商業的にも成功して人気バンドになってしまった彼等。そういうところでメンバーと意見が食い違ったりしたのかな。「君にはもう着いていけないよ」って…(完全な妄想)。今までのペインズはもう終わってしまったんだと考えると、悲しくなる。でもそんな悲しみをとびっきりポップな曲に昇華して戻ってきてくれたのはやっぱり嬉しい。2、3曲目はこのアルバムを代表するギターポップで大好きです。ラストを飾る10曲目はストリングスとホーンが絡む、ベルセバ風の泣きのメロディが涙腺を緩ませます。そして日本盤のボーナストラックの3曲はより80'sなネオアコで、聞き逃せません。
♪ Listen!
8. Alcest / Shelter (Prophecy)
メタル要素が完全になくなった、優しさに包まれた作品でした。2007年にリリースされた "Souvenirs D'un Autre Monde" は4AD的な耽美シューゲイズで今でもよく聴くんだけど、それ以降は自分の苦手な絶叫ヴォーカルが復活してて、敬遠していました。今回はびっくりするほど音もヴォーカルも温かくて、正にジャケット通りの眩い光の世界。でも幸福感がありつつも、堕ちていくような、メランコリックなメロディなのは変わらずで、これはアルセにしか出せないものなんだな、と改めて思いました。7の"Away"はスロウダイヴのニール・ハルステッドがヴォーカルで参加していて、モロにMojave3な世界。シングルになった2なんかUKギターバンドのようで、Long Viewなんかを思い出しちゃいました。腕で三角形を作ったサイケなヴィジュアルワークもかっこいいです。
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7. Lust for Youth / International (Sacred Bones)
スウェーデンには素敵なエレポップバンドがたくさんいます。Mary Onettes、EmbassyにTough Alliance、Sound of Arrows…でも一番好きなのはHearts of Black Scienceだったりする。80'sでゴシックで、デペッシュ・モードやシスター・オブ・マーシーから影響を受けたエレポップに、シューゲイズな要素を取り入れた、個人的にはとても衝撃的な出会いだった、思い入れの強いバンド。そんな彼らと比肩するようなバンドが自分の中についに出てきてしまいました。それがこのLust for Youthで、Hearts of 〜がシューゲイズだったのに対し、彼らはインダストリアルなところが面白いんです。今作が一番ポップで聞きやすいらしいけど、なんとなくダークさがチラついているのは聞いてて分かる気がする(是非旧作も追ってみたい)。シングルになったキャッチーな9、ニューオーダーな4、女性ヴォーカルをフィーチャーした6、歌モノだけでなく、3、5やラストのインストまで聴かせるセンスの良さといい、アルバム通しても全く飽きさせない内容でした。きっと彼らの今後の分岐点になりそうな、重要なアルバムだと思います。
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6. Whirr | Nothing / Whirr | Nothing Split (Run For Cover)
同じメンバーが在籍する二つのシューゲイズバンドのスプリット12インチ。2曲づつの収録だからシングル扱いでもよかったけど、パッケージが凝っていてDVDが付いてたり、何より4曲全てハズレなしの充実ぶりだったので、アルバム扱いにしちゃいました。Whirrの1曲目は轟音疾走シューゲで文句なしのキラーチューン。冒頭から風力の強い激しいギターサウンドでかましてくれます。2曲目も現代版Adorableみたいで最高。Nothingはアルバムとは違った、基本は守りつつも、パワーポップみたいな音になっており、何かふっきれたような明るさがあって新鮮。そして相反するかのように、2曲目はメタルで重厚なギターサウンドで、格好良くキメてくれてます。大満足のスプリットでした。
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5. Foxes in Fiction / Ontario Gothic (Orchid Tapes)
アメリカの男性1人ユニットによるアルバム。空気の澄む秋にリリースされ、儚くも美しい情景が映し出される作品でした。初めて聴いたときにBeach Houseを思い浮かんだのだけど、彼の音楽はもっと人間の弱さとか脆さみたいなものが滲み出ている気がする。繊細なアンビエントサウンドに、寄り添う女性ボーカル、寂し気なアコースティック・ギター、そして悲しくてやるせないメロディが渾然一体となって、自分の荒んだ心を介抱してくれるよう。絶望さえ感じるギターのイントロから、徐々に前を向いて歩いていくような展開の4曲目が特に好きになりました。クレジットを見ると、ジャケットやインナー写真の使用カメラまで書かれており、ヴィジュアル・ワークにはかなりの拘りがあることが分かります。タロットカード(?)を出す手にタバコ、見切れたIの文字のバランス感覚がすごいなと思いました。
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4. Real Estate / Atlas (Domino)
息のあったバンドアンサンブルに、スムースなメロディライン。でも歌っていることは思っていた以上にリリカル。淡々とした日々に、自分の心に確かに響いて、溶け込んでいったアルバムです。シングルにもなった3はとても切なくて、明るいようで、でも毎日が不安で。最初に聞いたときは夜中でした。自然と涙がこぼれました。その流れで聞く4のインストも歌ものを聴いているようで素晴らしい。7もメランコリックな名曲だと思います。作曲のできるシーアンドケイク、シックになったオレンジ・ピールズとも呼べそうな趣。でも個人的に彼等のアルバムはYamon Yamonの2ndの悲しみ(あまり好きになれなかったんです…)を埋めてくれる存在でした。それぞれのエレメントが美しく配置された、モンドリアンの絵画のような、そんな作品でした。
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3. Nothing / Guilty of Everything (Relapse)
メタルやハードコアを聞いていた友人に、「彼等のアルバムはRelapseってところから出てるんだよ」と言ったら「ええー!リラプスなの!?」とすごいビックリしていて、そのレーベルを知らない自分は友人の反応にまたビックリしてしまいました。どうやら有名な老舗レーベルで、メタル系のリスナーからするとインパクトのあるリリースだったのかもしれません。でもレーベルってのはこういう良い意味での「裏切り行為」をやってこそだと思ってるし、ジャンルの垣根がなくなるっていうのも、すごく面白いと思っています。そしてブックレットで刑務所や囚人の写真が使われていたのはボーカルのプライベートな出来事が原因となっていたようで、調べたら重たいエピソードでした。だからこの退廃的で悲しげなメロディも、どこまでも世界観を広げるシューゲイズなサウンドも、必然的なものだったんだなと納得しました。アルバムを改めて聴くと、最後の曲、“Guilty of Everything”がとても沁みます。これだけは希望が感じさせるから。
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2. Craft Spells / Nausea (Captured Tracks)
ネオアコだけでなくサイケフォークも感じさせる、でもそんなジャンルさえ飛び越えた作品。ネオアコのオレンジジュースから始まり、エレポップのペットショップボーイズを経てたどり着いた、XTCやプリファブ・スプラウトのような、不変のポップワールド。自分の音楽性にきっとかなり苦悩したんじゃないかなってことが分かる、挫折を味わった人にしか見えない風景。タイトルに「吐き気」と付けてしまう捻くれたセンスもまたユニークです。ローズピアノのイントロが印象的なオープニングから、感動的な2、歌謡曲っぽいフレーズの6、ワンフレーズだけで走り抜ける疾走ネオアコの10など聴きどころ満載。アルバム全体的にどこか「和」を感じさせる、メランコリックで息を飲むような彼の世界にぐぐっと引き込まれてしまいました。情報過多の現代だからこそ、1曲1曲、丁寧に淹れられたお茶を飲むように聴き続けました。きっとこの先ずっと付き合って行けるアルバムに出会えたことに、感謝したいです。
♪ Listen!
1. Literture / Chorus (Slumberland)
夏の終わりにリリースされた、アメリカはテキサスのバンド、リタラチャーの2ndアルバム。前作よりもさらに甘いメロディでポップ、そして疾走感のある楽曲が立て続けに展開される素晴らしい作品。彼らのサウンドが他の現行のインディ系ギターバンドと明らかに違うのは根底にあるのがパンクだということ。メロディだけを聴いても、70’sパンク〜パワーポップを聴いているみたい。大好きなThe Beatとか、Recordsとか、20/20が聴きたくなるような。でも今を生きている身としては、リタラチャーが一番好きです。パンクでありながらもここまでポップに昇華させた作品って今までなかったと思うから…。ハッピーではっちゃけたオープニングからラストまで疾走に次ぐ疾走で、この突き抜け感には心から感動。特に6曲目のNew Jacketは憂いのあるギターとヴォーカルで、Wild Nothingの2ndアルバムをまるごと3分間に圧縮させたような1曲。深夜に自転車走らせながらよく聴いてました。アルバム後半に繋げるかたちの7曲目”Chime Hours”だけはミディアムナンバーで、まさかの泣きメロが繰り広げられています。この曲ばかりはパンクというより、もう純粋なポップソングとしてもクオリティが高いと思います。ラストの疾走曲”Kite”も少し寂しげな青春疾走ギターポップで泣ける。まさか彼らの音楽からこんなに切ない感情が沸き起こるとは思わなかったです…。前作よりもドラマティックな内容に成長した、今後の彼らに期待したいです。そして前作に引き続き、今回もお花のジャケが素敵です。
♪ Listen!
続いて、シングルも印象的だったものをまとめてみました。
10. Line&Circle / Line&Circle EP (Self Release)
Pains畑から収穫された、Night FlowersやVestalsも良かったけど、このバンドはSmithsでNorthern Portraitな、悪く言えば紋切り型サウンド。でもなんかこの音の抜けの良さが気持ち良くてついつい聴いてしまう。っていうか…このシンプルなバンド名が好きなんです。
♪ Listen!
9. Courtneys / Mars Attacks (feat. Young Braised) (Hockey Dad)
インディファンにはお馴染みの女の子ガレージ・ギターバンド。少し陰りのあるメロディは初期のVeronica Fallsみたいなんだけど、そこにまさかのラップが出てくるのが新しくて刺激的。女の子版ビースティという表現も納得の格好良さでした。こういったオルタナ女性vo.モノも豊作だった2014年。でもキャラがたっているという点で彼女達がやっぱり気になってしまいました。
♪ Listen!
8. Ice Choir / Pure Holiday (Cascine)
暮れにリリースされたクリスマスシングル。両面ともに素晴らしいAOR路線のエレポップ。シンセの音がしんしんと降る雪のような繊細さで、少しばかりの泣きメロがたまらなく好きでした。
♪ Listen!
7. Free Time / Esoteric Tizz (Under Water Peoples)
いい意味で懐かしさを感じさせてくれる、トロピカルな疾走ギターポップはメルボルン出身。ヘロヘロなボーカルでありながら、♪Ooh〜というメロウな展開…になるかと思いきや、後半では怒濤の熱いギターソロ。痺れます。
♪ Listen!
6. Twerps / Back to You (Merge / Chapter Music)
Magic MarkerとかHarrietからリリースされてもおかしくなさそうな、ジャングリーで日差しの似合う疾走ギターポップ。またしてもメルボルン。そろそろリリースされる新しいアルバムにも期待が高まります。
♪ Listen!
5. Saint Pepsi / Fiona Coyne (Carpark)
サンプル使いから歌モノになった、80'sでファンクな…もうギターポップと言い切ってしまいたいくらい、音数も減って更にポップでシンプルになりました。この路線でアルバムが出そうな予感。そしてSaint PepsiからSkylar Spence改名したみたいですね。
♪ Listen!
4. Gingerlys / Jumprope (Shelflife)
いち早くシューゲイズでアノラックなサウンドをやっていた、Brittle Starsの生まれ変わりみたいなバンド。4曲全て疾走しててたまりません。どうかこの路線はキープし続けて欲しいです。Pains畑とはまたちょっと違う、絶妙な立ち位置の、スキマ産業的なシューゲイズ・ポップ。
♪ Listen!
3. Paellas / Cat Out (Self Release)
前作のダークなギターサウンドも好きだったけど、このシングルでは夜感はキープしつつも、少しR&Bでアーバンな曲にシフトチェンジしてました。次はどんな音が飛び出すのか、とっても楽しみです。
♪ Listen!
2. Perfect Pussy / I Have Lost All Desire For Feeling (Self Release)
ハードコアでありながら、聞こえてくるギターはシューゲイズ。そして自分内のジャンルの壁もさらに崩落してしまったシングルです。個人的にCrystal Castlesを初めて聴いた時を思い出してしまいました。
♪ Listen!
1. Communions / So Long Sun (Tough Love)
ポストパンクなイメージから一転、マンチェで眩いサイケサウンドとポップなメロディが開花した名曲。両面共に打ちのめされます。"So Long Sun"のイントロのストーンローゼスなギターに、いつもドキドキしてます。"Love Stands Still"もなんていい曲なんでしょう。ちょっと拙さや蒼さのある男の子ヴォーカルがたまりません。今後更に人気が出そうです。
♪ Listen!
以上アルバム、シングルで10枚づつ並べてみました。おそらくこのブログ史上一番長いエントリーになったかと…。
今回シングルも載せようと思ったのは、ジャンル的にも幅広くて、まとめてみたら面白いなと思ったからなんです。やっぱりシューゲイズやドリームポップが好きだから、そういうものがベースにはなっていますが…。でもシングルよりアルバムの世界にどっぷりダイヴするのが好きなので、アルバムとして良いなと思える作品に、今年もたくさん出会えたら嬉しいです。
このブログもなんとかまだ続いています。あまり更新できてなくても、地道にコツコツ、今年も書いていければと思います。
本年もよろしくお願い致します。
2014/08/13
Aden
Aden / S.T. (Fortune4)
エイデンは夜寝る前に聴きたくなる、とても安心感のあるギターポップ。昼間でもいいけどなんとなく夜になって布団にくるまりながら聴くイメージ。派手さはないけど素朴で歌を大事にしたいい曲がたくさんあります。
初めて彼等の曲を聴いたのはセカンドアルバムの「Black Cow」(Teen Beatレーベルの名作の一つでもあります)。オープニングの"New Fast"を聞いたときの感動は今でも忘れられない。ここから何かが始まる期待感や希望が込められたイントロのギターとベース。柔らかな男性ヴォーカル、あまりにも優しくて切ないメロディ。もうメロメロですよ、好きな要素しか無いんだもの。彼らの音の質感ってけっこう独特で、全ての音や声に角が無い。丸みを帯びていて柔らかくて、まるで人肌で温められたバターのように溶け込んでいくんです。
これは彼等のファーストアルバムで、他のアルバムに比べたら静かでミディアムテンポの曲が多い作品。土くさくて都会に出る前の田舎の青年が奏でてる感じです。セカンド以降はバンドとしての骨格が出来上がって一本筋の通った、洗練された都会的な音になっていくんだけど、メロディそのもので言ったらこのファーストが一番いいかもしれない。それにこの作品だけ女性コーラスやチェロを取り入れてたり、時折ファズなギターがきこえてくるのも特徴かなと思います。
1なんて男女ツインボーカルで初期のカメラ・オブスキュラとかパウンドサインみたい。4のチェロが絡む感じもホリデイ・フライヤーみたいで大好きです。6のメランコリックでやるせない感じとか、9のトゥットゥルコーラスがキュートな曲はインディポップファンに支持されそう(そういえば昔のインタビューで彼らはmoonlings(Bella Vista〜Pipasの前身バンド)は世界で2番目のバンドって言ってたのも頷ける)、10の街灯に照らされた道を歩きながら帰路に経つ感じとか、サビのメロディでもう名曲としか呼べない11、アルバム中少し異色でサイケデリックな12も聞き逃せない。泣きのツボを完全におさえたメロディが全編に漂ってます。そしてこの静けさ……たまりません。SeamのスーヤンパークがやっていたFortune 4というレーベルからのリリース。そうか、この静けさはSeamにも通じていたんだな。
それにしても味のありすぎる牛の絵です。子供が描いたのかな?こんな夜感のある牛の絵、見たことないよ。先述した通りセカンドのアルバムタイトルはBlack Cowで、どうやら彼等は牛が好きみたい。そうか、バターのように…という表現は間違っていなかったんだな。さらに3rdのアルバムタイトルがhey 19。牛だけでなく、スティーリー・ダンも好きみたい。そう、スティーリー・ダンも初期は土臭くて、アルバムを出す毎に都市に向かって行ったんだよね。
Label Site iTunes
2014/03/23
Nothing

Nothing / Guilty of Everything (Relapse)
アメリカのシューゲイズバンド、ナッシングの1stアルバム。前作のEPが素晴らしかっただけに、とても期待していた作品でした。あのEPでは疾走感のある曲とフォーキーでこみ上げる曲がバランス良く配置されていたのだけど、このアルバムはロック色が強く壮大で、ずっしりとした重さがありました。
彼らの特徴はブラックメタル的なギターサウンドと、ウィスパーな男性ヴォーカル、メランコリックなメロディの融合だと思います。そして道を歩きながら聴くと無風なのに強風が吹いているんじゃないかと思うほどのフィードバックギターが炸裂し、目の前が一気に色を失って荒涼な風景に変わります。耳から流し込まれているというより、お腹の底からズシンと鳴らされているような轟音。ライドやジザメリが鳴らす耳を劈くような轟音ではなく、嫌でも内面を抉られるような、逃れられない轟音なのです。聴き終えた後は、追いはぎにあったかのような喪失感に苛まされますが、それでもしっかり地に足着いている力強さがあります。よくシューゲイズはドリームポップって言われるけど、彼らにはそのワードは当てはまらないね。すごく現実感のある音だから…。
正直に言ってしまうと、個人的にはもう少しポップなメロディの曲も欲しかった。なぜならやっぱりあのEPが素晴らしかったからです。Sway、Mew、Daysleepersのような、イギリスからの影響を受けたバンドに通じるものがあったし、それを漆黒のギターサウンドで表現していたのがカッコ良かった。特にラスト2曲の"If Only"、"The Rites Of Love And Death"は感動的で、切なくも甘いメロディは彼らの素の部分を見ているかのような優しさに包まれていました。
今回のアルバムはイギリスと言うより、アメリカ的なオルタナロックに寄っていて、それこそスマッシング・パンプキンズっぽさとイエスーをミックスさせたようなサウンドになってます。ダイナミックな音の展開はサクソン・ショアにも通じるね。1曲目はLongwaveの"Sirens In The Deep Sea" を思い出しました。とってもメランコリックで、大好きな曲。3曲目の疾走感はこれぞ強風シューゲって感じのどこまでもクールでかっこいい曲。5曲目は音からもメロディからもやるせなさがこみ上げてくる切ない曲。歌っているというより何かを諦めたかのような、溜め息に近いヴォーカルが印象的。こういう曲が日々生活してて、やたらしっくりくる時もあるんです。6曲目はアルバム中一番ポップな曲で、つかの間の安心感を与えてくれます。Cloud Nothingsの"Attack on Memory"を思い出しました。そして7曲目からラストまで堕ちていくような、緊張感のある楽曲が続きます。その中でもアルバムタイトルでもあるラスト曲「Guilty of Everything」はじわじわ泣けてくる。歌詞とかタイトルからは全く明るさや希望がないけど、メロディや声には失っても「その先」を感じさせてくれている気がします。自分にとって音楽を聴くってことは、何かしら人の温度を求めているのだと思います。特にこのアルバムは重厚感のあるハードでダークなギターサウンドから、最終的には声に耳が行きましたから…。
それにしてもアートワークが最高にミニマル!音のイメージをそのままばっちり表現していますね。彼らの作品は全てモノトーンで統一されていて、EPが螺旋階段、今回のアルバムが旗をモチーフにしています。黒背景に降伏を意味する白旗はたなびいているようには見えず、風が吹いてそのまま固まってしまったようなイメージ。ケースを開けると真っ白な盤が出てきてそのコントラストには感動すら覚えました。そして彼らのシンボリックなロゴマークは随所にちりばめられ、否応でも「Nothing」というキーワードが刷り込まれます。ここまで否定や罪悪感という言葉を使いながら全くネガティヴさを感じさせないかっこよさ。このデザインはOrion Laundauによるもので、メタル系バンドのアートワークをたくさん手がけているようです。
春だからといって浮かれてないで、今日も彼らの音を聴きながら出勤です。
Bandcamp Label Site
2013/12/22
Top 10 albums of 2013
Top 10 albums of 2013
今年よく聴いた作品を振り返ってみました。
10. Vampire Weekend / Modern Vampires of the City (XL Recordings)
今年のフジロックで彼らの出番を待っている間での会話。「自分:あ、ステージのバックが花柄だ。なんか今年よく花柄見るよね。友人:今年花柄きてんねん!」そうか、知らなかった。確かに今年は音楽でも花柄のアートワークをよく見かけました。いち早くそういうトレンドを取れ入れる彼らはやっぱりオシャレだと思いました。そう、彼等のジャケットのアートワークはいつも素晴らしい。特にブックレットのデザインがいつも素敵なのです。Matt de Jongによるデザインは、黒を基調にしつつも赤を差し色で加えたり、手書きの要素もキュートでセンス抜群。音に関しては確かに黒さは薄まったけど、純粋なポップ・アルバムとしては素直に良いアルバムだと思いました。
Official Site | ♪ Listen to "Step" (Music Video)
一聴してWild NothingとかCatwalkみたいだなと思って、すぐにお気に入りなった作品。デモだし、声もあんまり聴こえないけど、この蒼さがたまらない。知っている人だけがそっと大事に持っておきたい愛すべきバンド。大通りには行かず、ついつい寂しい路地裏に向かってしまう感じにも似ている。最近Catenineとのスプリットシングルを出したけど、それもけっこう良い。秋の少し肌寒い時期にハマる音で、電車の中でも流れる景色を見ながらよく聴いてました。2曲目の"No Wind"は大好きなCat's Miaowっぽさもあるね。ラストがキュアーの"2late"のカバーなんだけど、ほとんどオリジナルに聴こえて気がつかなかった…。湖面に静かに広がる波紋のような、じわじわ来るシューゲイズ。フルアルバムも是非作って欲しいです。
♪ Bandcamp
8. Phoenix / Bankrupt! (Glassnote)
ハレーションを起こすようなシンセが耳を劈く、ポジティヴさに溢れてるフェニックスのアルバム。テンションを上げたい時はいつも聴いてました。ちょっとやりすぎなくらいの過剰なアレンジが、地味な曲ばかり聴いてる自分にとっては逆に新鮮だったな。個人的には3rd以降はどの曲もリフで強引にまとめあげる印象が強くなっていって、正直少し距離を置いてる時期もありました(笑)。でもこのアルバムは華々しいアレンジと共に、今まで以上にポップでカラフルな楽曲ばかりが入ってる。前作に収録されているLove Like A Sunset Part IIを進化させたような9曲目のBourgeoisには心から感動…。そう、こういう曲が聴きたかったんだよ、僕は…。
Official Site | ♪ Listen to "Bourgeois(Music Video)"
7. The Changes / American Master (Tokyo Co.)
プリファブ・スプラウトを思わせるトレンディなサウンドで、今でも輝きを放っている1stアルバムから数年が経ち、まさかの復活で2ndアルバムがリリースされて感激!あそこまでの躍動感は無いにせよ、今年リリースされたレコードの中でも楽曲の良さはトップレベル。1stはイギリスへの憧れが全面に出ていたけど、この2ndはタイトル通りアメリカがテーマになっていると思う。My SpaceのトップフレンドにChicagoがあるだけにやっぱ影響受けてるよね。全体的にちょっとフォーキーで、肩の力が抜けてリラックスした雰囲気も良いし、80’sというより70'sっぽいレトロな音の響きも素晴らしい。良い曲が多いけど、ラストのAOR風なメロウナンバー、Never Blueがすごく好きでした。
♪ Listen to "American Master" Full Album Streaming
6. Jesu / Everyday I Get Closer To The Light From Which I Came (Avalanche)
イェスーは灰色のような日常と感情にしっくりくる音楽だと思う。何か今の気分に合う音楽を聴きたい。でも明るくてキラキラしたものは聴けない。そんな時にハマるのが彼の音楽でした。絶望でも希望でもなく、寄り添うのでもなく、だからといって突き放すわけでもなく、いい距離感で自分の耳に入り込んできました。柔らかな轟音は少し温もりも感じさせてくれて、安心感もある。ジャスティン・ブロードリックという人はメタルバンドをやっていたのに、どうしてこんなにも叙情的な曲が書けるんだろう。そして友人に言われた「や、メタルってメロディアスやで!」という言葉で納得。だからといってメタルを聴こうとは全く思わないけど(笑)。暗くもなく明るくもなく、曖昧でグレーが似合う美しいアルバム。
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5. Boats & Trains / Blooming
なぜか無性に聴きたくなるバンドでした。最初はちょっと地味かな?なんて思ってたけど、全体的に漂うメランコリックさや、抑制の効いたサウンドがだんだん独特に思えてきて、クセになってしまいました。それなりに元気な曲もあるけれど、決して明るくならず、基本的にはモノトーンで憂いを帯びてる曲が多かった。特に3曲目のBloomingは身体中に染み渡る水のように、しっとりとした質感のネオアコで愛聴してました。というか全部いいんです、実は…。気がつくといつも傍らにいたのは彼らだったのではないかと思う。サイレントでジェントリーなアルバム。
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4. Nothing / Downward Years To Come
実際にリリースされたのは2012年だけど、あまり流通してなさそうだし今年になってからやっと聴いたので気にせずランキングに加えました。仄暗い、渦巻くフィードバックギターにとけ込む甘いウィスパー・ヴォーカルは正にシューゲイズ。畳み掛けるようなドラミングと轟音が押し寄せてくるオープニングから、疾走感のある2曲目のDownward Years To Comeのへ流れには思わず息を呑みました。というか シューゲイズ・バンド、Daysleepersにメロがそっくりでたまらない。後半のミディアムナンバーもクウォリティが高く、あくまでもメロディが中心になっているので最後まで聴けます。全5曲ながらアルバム級の充実感がありました。
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3. Proctors / Everlasting Light (Shelflife)
ギターポップは自分にとってカイロプラクティックみたいな存在なのかもしれない。ギターポップのおかげで歪んだ心をいつも矯正してもらってるような気になります。じゃあこういう音楽に出会ってなかったらどんだけ捻くれた人間になってたんだろうと思うと少し怖い(笑)。彼らは苦しいことも悲しいことも乗り越えてきたからこそ見える、本物のキラキラ感を知っていると思う。だからこのアルバムはきっと何年経っても新鮮な気持ちで聞けるはず。それくらい不変的で素晴らしい曲ばかりがたくさん詰まってるし、お花のジャケットもすごく素敵でとても気に入ってる。真っ直ぐでいることはとても強いことだと思う。Proctors先生の治療、かなり効きました。
Labal Site | ♪ Listern to "Into the Sun"
2. Brother Kite / Model Rocket (Clairecords)
個人的には本当に待望だった、アメリカのシューゲイズバンドのニューアルバム。シューゲというよりほとんどパワーポップなサウンドになってるけど、相変わらずいい曲を書くし、シューゲにしては歌心がある魅力的なヴォーカルも健在。前作が自分と向き合う孤独感がテーマだったのに対して、今作は活き活きとした幸福感に溢れてる。1〜3曲目までの疾走感のある流れは圧巻で、1曲目のSecretsなんて歌い方がすごくはっちゃけててビックリ。雪が溶けて春がやっと来たことを心から喜んでいるような元気いっぱいの曲。3曲目のSmall Sparksの泣きメロ感は彼らの楽曲の中でも上位にランクインする名曲だと思ってます。Death Cab For Cutie、Nada Surf、Teenage Fanclub、Pernice Brothersのように、いつまでも"良い歌"を届けてくれそうな、そんなバンドになったと思いました。…でも心のどこかでやっぱり轟音を求めているけどね。
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1. Silver Screen / When You and I Were Very Young (Plastina Records)
メロディというものはもう出尽くしているのかもしれない。でも彼の音楽を聴いて、まだまだそんなことはない!と思えたこと、こんなにも心を豊かにしてくれるメロディがこの時代に存在してくれていることが、僕にはとても嬉しかった。春の始まりを告げるオープニングから、足取りが軽くなって外に出掛けたくなるようなno really wonder、このアルバムの代表曲とも言える切ない名曲のmercy、cloudberry recordsからリリースされていたパッパラコーラスが印象的なa little more eachday収録も嬉しい。そして切ないというより悲しいメロディでアルバムの終わりを告げるFrom Window to the indifiniteまで一切捨て曲なし。この1年で一番聴いたのは間違いなくこのアルバム!文句無しの名盤でした。
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けっこう迷ってなんとか10作品に絞りました。やっぱりSilver Screenはダントツだったなぁ。彼もBrother Kiteと同じClairecords所属だったから、老舗のシューゲレーベルのアーティストが作品をリリースしてくれたのは、やっぱり感慨深い。そして2組とも今やほぼシューゲでもないというのがなんとも…(笑)。
当ブログは今年もなんとか続ける事ができました。あんまり更新できてないけど、どうやら読んでくれている人がいるようです。でたらめな事も書いているかもしれないし、意味不明な事も書いているかもしれませんが、どうかお許しを…。これからもひっそり佇む静かなブログとして地味に更新していければと思います。
来年も素敵な作品に出会えますように!
2013/11/04
The Proctors
The Proctors / Everlasting Light (Shelflife)
お花のジャケットが印象的なプロクターズのアルバム。新作を出すのは18年振りとのことだけど、新人バンドのデビュー作と言ってもいいくらい、純度の高い音を鳴らしています。今年出た作品の中で間違いなくベスト3に入る素晴らしい内容。
15曲も入ってるので中だるみしそうかと思いきや、最後までちゃんと聴けたのが意外でした。現在活動している、数多くのSarah系ギターポップバンドの中では群を抜いて曲がいいです。キャリアがあるだけに良い曲がいっぱいで、どの花を摘んでもハズレなし。音的に新鮮さはないけど、その分ずっと長く聴ける普遍的な作品だと思います。 キラキラとした光輝くアルペジオギターに男女ツインヴォーカル、プロデューサーのイアン・キャットによるキーボードがアルバム全体を纏うことで、ドリーミーな雰囲気を醸し出しています。そしてハウス・オブ・ラヴのテリー・ピッカーズによるサイケデリックなギターが、このアルバムをよりドラマティックに演出してくれている気がします。
蒼くて切ないメロディ全開の1曲目から涙腺が刺激されます。なんとなく18年という長い年月の間に経験したことが滲み出ているような、繊細でありつつ、強い意志を感じさせる曲。いやはや出だしからいきなりの名曲っぷりで、2曲目は大丈夫なのか?と心配しながら聞いてみると、これもすごくいい曲。まるで大好きなAberdeenを彷彿させる田園ギターポップで感動…。アルバムの2曲目って大事だね。2曲目の良し悪しでアルバムのクオリティが左右されるといっても過言ではないと思うんです。そしてやるせなさがこみ上げてくるギターのイントロに期待せずにはいられない3曲目は完全にField Mice。カバーじゃないよね?と耳を疑ったほど。そして個人的にアルバム中一番好きな4曲目は弱い自分の背中を後押ししてくれるような、ティーンエイジ・ファンクラブっぽさのある曲。Silver Screenを彷彿させるアコースティックな6曲目も幻想的で美しい。疾走感が気持ちいい7、10曲目も元気がもらえる。とくに後者は女性のパッパラコーラス入りで感涙…。12曲目も女性ヴォーカルをフィーチャーした、Camera Obscura〜ベルセバに通じてる曲。日が傾いてきて、このアルバムも終わりがだんだん近づいていることを告げているかのような切なさがあって好き。
個人的にラスト三曲がシューゲイズしてるのが興味深い。とくに14曲目の"Cellophane"はスローダイヴからシークレット・シャイン、はたまたTears Run Ringsまで通じる曲でたまらないのです。だからアルバムを聴き終えた頃には、このジャケットのお花もなんだか強い匂いを放っているように見えました。ライドの初期三部作がドラッギーなお花のジャケットだったように…。のどかなギターポップかと思いきや、実はシューゲイズというテーマも感じさせる奥深い作品。綺麗な花だと思って摘んだらまさかのトリップで裏切られました。ちなみにプロクターズのこのお花の絵は19世紀に活躍したオーストリアのデザイナー、コロマン・モーザーによるもの。Black Tambourineが去年出したEPでもコロマン・モーザーの作品が起用されていました。
今年は去年に比べて新譜を聴いてないような気がするけど、こうやって真面目に丁寧に作られたアルバムはちゃんと見つけて聴いていきたい。こんなに音が溢れかえってるからこそ、自分がいいと思ったものは何回も何回も聴いて、体に馴染ませて、自分の作品にすることがとても大事だと思います。今まで自分が選んで聴いてきたこの「耳」は常に鋭さを保っておきたいものです。
彼等のアルバムを一曲一曲噛み締めながら、今日も一日が始まります。
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2013/10/14
Compilations
先月、コンピを2枚作りました。音楽好きの方と交換する機会があったのです。“交換”はとてもいい。商品として売っているコンピでは味わえない、その人のカラーがダイレクトに出てくるから好きです。曲順で「こう来たか!」って思ったり、1曲1曲に対する思い入れも伝わってきたり。イベントでもらうコンピもいいけど、プライベートで交換するコンピはその人の温度とかクセみたいなものがパッケージや選曲から滲み出てくるから面白いです。
今回は2枚とも内容がシューゲイズです。貰ってくれる相手が知っているだろう曲も気にせず入れ、アートワークも意外に悩んでなんとか完成させました。自分がコンピを作る上で気をつけることは、内容の全体的な流れを意識すること、曲をあまり入れすぎないこと、なるべく偶数曲にすること、なるべく曲解説を書くこと、ラストは切なめの曲にすること、です。曲数は入れすぎると聴かなくなる恐れがあるから特に気をつけてます。曲解説は適当にダラダラ書いているつもりですが…、文章を書く事がやっぱり苦手なので、通勤電車の中でiPhoneのメモ帳で地道に書いています。解説の紙を見て、おそらく熱い気持ちは相手には伝わるだろうと…笑。せっかくあげるなら驚いて欲しいし。あと自分は曲の“リスト”を見るのが好きなんだと思います。ここでいうリストは内容のことではありません。あくまでリストにしたときの“見ため”のことです。曲目がしっかり規則正しく並んでいるのを眺めるのがとても好きなのです。
ジャケはinstagramで適当にアップしているものから、どういった写真がシューゲイズ的なのか?というところを考慮した上で、海の写真と鳥の写真をセレクト。解像度が低いので、どうしても2色刷りに頼ってしまうけど、2色刷りでもいいものができるように努力はしたつもりです。まぁこんなことやってるから時間ばかりかかってしまうのですが…。でも一応CDのアートワークの仕事もやっていた身としては、中途半端なものは作れません。なので、それなりのものが出来たと自負しております(笑)。
黄色い方はシューゲイズで海辺ってことで最初ブルーにしていたのだけど、なぜかあまりパッとせず、結果的に黄色の紙にオレンジの2色刷り。本当はライドの海ジャケみたいなイメージでいたのだけど、見事にSarahレーベルみたいな仕上がりになりました。まぁいいか…Sarahもシューゲ出してたから。タイトルは大好きなマイブラの曲から。シューゲはドリームポップとも言われているから、シンプルにDreamって言葉が入っているものにしたかった。で、最後に丸型のシールも貼付けてみたら輸入盤みたくなりました。
紫のほうはこちらも最初ブルーにしていたのだけど、なぜかあまりパっとせず、どうせ作るなら普段使わない色にしてみようと紫をチョイス。なんだか鳥さんが怪しい印象になって嬉しい。そして紫はいい。クールなようでいて、温度もある。普通とは違ったインパクトのある色で、闇も感じる。それこそシューゲイズに相応しい色だ!と勝手に盛り上がってようやく完成。タイトルは大好きなニューオーダーの曲から。シンプルにDreamって言葉が入っているものにしたかった。で、最後に丸型のシールも貼付けてみたらやっぱり輸入盤みたくなりました。ちなみにこういったプライベートコンピには「CDケース用のビニール袋」と「シール」を付けるとグッと商品価値を上げます。お弁当の見た目をアップさせるには「ミニトマトを入れるといい」と同じことです。
今回は2枚ともジュエルケースにしてみました。昨今の輸入盤は紙を2枚に折ったようなカードスリーヴや薄いデジパックが多く、なるべく省エネ傾向にあるようです。これは交換だし、CDとして存在感のあるものにしたかったから、あえて厚みのあるジュエルケースにしてみました。郵便受けを開けて手にもったときのずっしり感が欲しくて(笑)。
「コンピかぁ。Soundcloudでいいじゃん」
「俺、モノに執着しないから興味ない」
作っているとき、そんなセリフも頭の中をかすめますが、やっぱり味気ないよね。こうやってカタチにしてみると、曲に対する思いも一層強くなるものだと思います。レコードやCDにこだわる人たちの音楽に対する愛情が深いのと同じように…。
誰か僕と交換してください。
2013/07/28
Tree Fort Angst
Tree Fort Angst / Last Page in the Book of Love (Foxyboy Records)
ちょっと前に、テレビの深夜番組で好きなお笑い芸人が“鬼が島”というユニットのコントを見ていった一言。「鬼が島ってネタによって面白かったりそうでなかったり、ムラがあるんだよね。でも俺、そこが好き。」って。それを聞いて考えました。自分にとってムラがあるけどそこが好きなバンドって何だろうと。
いました。Tree Fort Angstという曲によってムラのあるバンドが。イギリスのSarahレーベルから出していたSt.Christopherの中心人物、テリー・バンクスがやっていたジャングリーなギターポップバンド。St.Christopherは透明感〜焦燥感がある切ない曇り空ネオアコ。Tree Fort Angstはギターがガチャガチャ言ってる晴天ギターポップといった感じかな。以前このブログでも書いたGlo Wormでもギターを弾いている人物。多才なお方です。
これはシングルの編集盤…の再発盤で、30曲というフルボリュームでおそらくほぼ全ての音源網羅してるのかな。疾走している元気な曲も、アコギメインでしっとり進行していく曲も、まるでラフスケッチのような趣。そして曲によってはあまり…(笑)ってのもあります。ただでさえあまり音良くないのに、ライヴ音源とか聞く気にならないっていう。でもそこも含めて好きだと言えるのはやっぱり彼の声に尽きるのかも。本気ネオアコの声は苦手なのが多い中、彼の声はちょうどいい感じなんです。基本は甘酸っぱくて少し強さも感じさせる理想的な声。ロディ・フレイムまでいかない蒼さとでも言えばいいのかな。
内容の方は1曲目の"Tuesday"から飛ばしてくれます。1週間のなかで1番パッとしない日は火曜日と歌った(と勝手に自分では思ってる)曲。テリー・バンクスがこの後に組んだバンド、Saturday Peopleにそのまま繋がる曲だと思います。というか、Saturday Peopleってバンド名自体パッとしないし、楽曲のムラもそのまま引き継がれております(笑)。アメリカのバス・ストップからリリースされていたシングル、"Tilting At Windmills"のキラキラとした風景。フックラインが印象的でなかなか熱く歌ってくれてます。"Parting Kiss"はアコギメインで一気に歌いきる、アズテックカメラに通じてる名曲。ドラムレスなのにノリノリで聞いてしまいます。
60'sなファション写真を使ったこのジャケ、友達に見せたら「和田アキ子みたい」って言われました。それはいくらなんでも違うのではないかと…笑。しかし、Tree Fort Angstは楽曲のクウォリティにムラがあっても、シングル群のアートワークは全部いいんです。だから、結果、大好きなんです。
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2013/06/01
Silver Screen
Silver Screen / The greatest story never told (Clairecords)
今年8年振りにリリースされたニューアルバムがギターポップファンの間で名盤入り確定になっている、繊細でどこまでも美しいメロディを紡ぐアーティスト、シルバー・スクリーンの1stアルバム。
彼の音楽を初めて聴いたのはシューゲイズ・レーベルのclairecordsからリリースされたコンピ、test tones vol.1でした。このコンピのラストを飾っていたのがアルバムにも収録されてる"all i have"のデモヴァージョン。でもこれを聴いた当時は正直あまりパッとしなくて、よく通っていたレコード屋さんから、「今度シルバー・スクリーンってのが入荷しますよ」って言われても「ふーん」って感じでスルーしていたのです。その後更に同レーベルからリリースされたnotes from claire(おいしいトコどりのレーベルコンピ)にもシルバー・スクリーンが入っていて、とくに期待しないで流していた深夜、体に電流が走った…。な、なんだこれは、めちゃくちゃいいじゃないかと。そして心の中で思いっきり彼に謝って、すぐさまレコード屋に駆け込みました。それくらいこのコンピに収録されていた"something to prove"という曲はドリーミーで美しく、大好きなラヴダンスやブルーボーイを思わせる感動的な曲だったのです。
その後アルバムを聴いたらいい曲のオンパレード。ハイトーンヴォイスにスロウダイヴやコクトーツインズを彷彿させるシューゲイズなギターサウンド。切ないメロディを何倍にも輝かせるアレンジ…。シューゲというより、ネオアコと言いきっていいのかもしれない。アコースティックな曲もあるし、彼が影響を受けたというトラッシュ・キャン・シナトラズを始め、サラ・レーベルの数々の素晴らしいバンド達へのリスペクトをひしひしと感じたから。デモで聴いていた"all i have"は生まれ変わってびっくりするくらい煌めいていました。アレンジひとつで曲の印象はかなり変わるんだと、改めて思い知らされた瞬間でもありました。ネオアコファンからすると2、3、8、10曲目は無視できないよね。特に10曲目の"rockinghorse road"はかなりの名曲だと思ってます。これを聴いたとき、もしかしたらトラキャンと肩を並べるくらい好きかもって思いました。というか回数で言ったらシルバー・スクリーンの方が全然聴いてるよ…。
アルバム全体的にはやっぱり夕方の海辺のイメージ。寄せては返す波のような、美しいコーラスがたくさん聴けます。汚れた心も彼の作り出すメロディでサラリと、でも優しく流してくれる気がします。一人で海辺情緒にひたる曲もあれば、ラストの方で聴ける"girl like you"みたいに波打ち際ではしゃぐようなアップテンポな曲もあります。ネオアコの人達ってほんとに海が好きですね。自分は実際に海はそんなに行かないけど、音楽の中でだったらもう数えきれないくらい海に行ってます。よく飽きないよねってくらい。というか自分が聞いている音楽はほとんどが海っぽいのかもしれない。だからもし「どんな音楽が好きなんですか?」って聞かれたら、「海辺みたいな音楽」って答えようと思います。「じゃあ湘南乃風とかキマグレンですか?」って返されたら、シルバー・スクリーンを聞かせようと思います。「なーんかオシャレっすねー!」「……」。
そんなことよりこのCDジャケット、海辺みたいな音のわりにはレッドを基調としたアフリカのサバンナの風景なんです。これはこれで広大なイメージと合ってるのかもね。キリンがいいアイキャッチになってて、裏ジャケにもキリンがワンポイントにあったりして可愛い。このアートワークってアントニオ・カルロス・ジョビンの「WAVE」にインスパイアされたのかな?あっちもタイトルがタイトルなだけに海がテーマになってるし…。あと名前がシルバー・スクリーンなだけに表記部分が銀の箔押しになってて凝ってるんですよ。フォントもちょっと変わってて宇宙っぽい。宇宙っぽい=自然風景=奥行きのある音空間。もしかしたらこの作品はネオアコ版チルアウトなのかもね。
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2013/03/04
Blue
Blue / Sitting on the Sofa (A West Side Fabrication)
スウェーデンのネオモッズなギターバンド、ブルーのアルバム。これはいつか聴いてみようと思ってずっと買わずにいたバンドの一つ。残念ながら今では超お安く転がっているCDだけど、内容はすごくいい。なんでもっと早く聴かなかったんだろうって。
1曲目からスタカン以外何者でもないモッズ魂炸裂な曲をかましてくれます。元気いっぱいなホーンセクション、ポールウェラーに憧れつつも熱くなりきれないヴォーカル、叩きまくりのドラムがアルバム通してかなりはっちゃけてくれてる。でもそこはスウェーデンのバンド、ポップでキャッチーにまとめてくれているから安心して聴けるところが好感。とにかくハジけた曲が多くて、けっこう一辺倒じゃない?って気もしてくるけど、仕事帰りに夜道ヘッドフォンしながら聴くとすごく気持ちがいいんです。よくがんばったね、お疲れ様!って言われてるみたいな。それが金曜日だったらもう帰ってすぐに缶ビールプシュッとしますね。後期オーシャンカラーシーンが本気っぽくて苦手な自分には、やっぱりこのブルーのアルバムがしっくりくる。
ところでこのバンド、ブルーと言っておきながらジャケはレッド、フォントはイエローで3原色を表現してるところがニクい。ヴィジュアル面で一切青を使ってないんです。だって、ブルーって言って青を使わないはずがないのに…。こういう捻ったセンス大好きです。
でもひとつ気になるのは彼らのバンド名表記。こういう仕事してるとどうでもいいところに目がいくんですね。
まずはジャケット。はい、小文字で"blue"。いいね。インパクトのある赤バックだからフォントはシンプルで主張のないものがいいです。
背帯。あれ、"Blue"。大文字+小文字(キャップ&ロー)で書いてある。どうしたことだ、フォントも変えちゃってる。全小文字だと見つけづらいから変えたのかな。
盤。おいおい、"BLUE"って全大文字!ここで表記の3兄弟勢揃い。わざとなのか?もう見れば見るほどこういった細かいところの統一感のなさが気持ち悪くてイライラする。本物のブルーはどれなのかはっきりしてほしい。実は買ってからすぐに表記のばらつきに目が行ってしまったんです。職業病ですね。
まぁそんなものも音を聴けば吹き飛ぶんだけど。…でも大事なことなんです。
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