2012/10/15

Language of Flowers


Language Of Flowers /  Songs About You (Shelflife)

アイルランド出身のギターポップバンド、ランゲージ・オブ・フラワーズのアルバム。旧譜だけどこないだ買ったばかりなので、取り上げてみました。もう8年も前の作品だけど、新譜並みのオーラがあって、いい曲ばかりでびっくりしています。シェルフライフは本当に素晴らしい作品が多く、このブログで取り上げるのもこれで3つ目。しかも時間が経ってもずっと聴ける名盤が多いです。

このバンドを知ったのは日本のQuince Recordsからリリースされたコンピレーション、"Guitar Sketch"(←名作!)でした。これに収録された"Tara Mascara"(本アルバムにも収録)がシューゲイズしてて一発で惚れたのです。マイブラ〜ラッシュをもっとポップにしたようなその曲は、インディポップバンドでありながらも熱いギラギラした演奏が自分の心に深く突き刺さったのでした。そしてアルバムを買おうと思っていたら8年が過ぎていました。購入が遅れたのはそれだけ"Tara Mascara"という曲がインパクトがあって、この1曲だけでお腹が一杯になっていたからだと思います。

このバンドはHeavenlyがよく引き合いに出されます。そこにSarahのバンドに通じるイノセントな雰囲気、さらにPale Saintsにも通じるギターがミックスされたようなサウンド。実際バンド名もPale Saintsの"Language of Flowers"から拝借しているのだと思います。
でもHeavenlyとは違う、憂いのある空気が漂っている気がする。明るい曲でもどこか影があって、そこが聴いててひっかかる。やっぱり底抜けにハッピーなんてことはないんだよ、現実は。カーっと晴れた日の方が逆にテンションが下がるなんてことがあるように…。って書くと鬱っぽいかな。
この憂いのある感じってのは、彼らがアイルランド出身なのも影響しているのかもしれません。音的に通じているかは別にして、同郷のFrank&Walters、もっと言ってしまえばクランベリーズを聴いていても同じように感じるし。

曇り空が似合う疾走ギターポップな1曲目からしてノックアウトなんですが、3曲目はHeavenly の"C Is The Heavenly Option"みたいな男女ツインヴォーカルで大好きです。ホーンが絡んでよりポップさが出ていて素敵。9曲目も男女で歌っていて、アコギの音色が美しいストーリー性のある曲。大好きなField Miceにも通じる1曲で、小雨混じりの天気がよく合います。そして前述した10曲目の"Tara Mascara"で一気にテンションアップ!なんでもこの曲だけドラムの人が書いたそうで、なるほど、このロックスピリットはドラマーによるものだったのかと妙に納得。

ちなみにこのジャケットはブルーノートからインスパイアされています。クレジットにもDesign Inspired by Reid Miles(リード・マイルスはブルーノートの数々の名作ジャケットを手がけたグラフィックデザイナー)って書いてある。まぁインスパイアというか、まんまというか…笑。せっかくなので、元になったジャケットも載せておきます。でもこうやって改めて見るとブルーノートから影響受けたジャケットは本当に多いですよね。受けない方が無理って思うほどです。これはジャンル関係なく言えること。「これは音楽のレコードです」ってのがパッと見ただけでわかるブルーノートのデザインの偉大さは計り知れないですね。見ているだけで楽しくなるし、写真の大胆なトリミングやフォントの並べ方も今見てもすごい新鮮に映るし。

ところで彼らは現在何をやっているのかと言うと、メンバーのうち数人はHELP STAMP OUT LONELINESSというバンドで活動しています。こちらはからっと晴れた明るいギターポップでなかなか…。

Label Site Wikipedia

2012/10/02

Insta


Insta / Horn Rim Fury (Sunday Records)

アメリカの老舗レーベル、サンデーからリリースされていたインスタの5曲入りCDシングル。これはシングルだからといって侮れない、実は5曲ともハズレが一切無い内容で、カーディガンズ直球の青春女の子ギターポップなのです。

始まりは98年。最初はPastry Heroというバンド名でこのシングルと同じ内容でリリース。そのときはまだいい感じの頃のブリリアント・グリーンに似ていて、すぐに僕の愛聴盤になったのでした。ヴォーカルもスウェーデンのバンドに通じるキュートなものだったし、何より1曲目の"Sydney"の疾走感が素晴らしかったし、メジャーでもいけそうな完成度だったのです。アルバムはいつ出るのかな、楽しみだな、って密かに思っていました。

でもこの手のバンドにはありがちな1枚で終わるような空気ももちろん漂っており、彼らの存在は時とともに薄くなり、数年が経ちました。その頃はフレンチタッチだとかエレクトロだとか、そういうものが流行っていました。 自分もそういうものを聞いたり、聞かなかったり、とにかくいろんなレコードが体をすり抜けていきました。

そしてある日レコード屋さんにひっそりと茶色の地味な7インチのジャケットがぽつんと置かれていました。バンド名はKitten Factor、レーベルはSunday。よく知らないけどSundayだからきっといいはずだ、と思って購入。そして針を落とした瞬間にびっくり。そう、 Pastry HeroはKitten Factorという名前に変え、メンバーも2人(たぶん)になって再出発していたのです。これはすごく嬉しかった。何より自分のリスナー感覚を初心に帰らせてくれたような気がしたのです。そうだよ、自分はこういう音楽が好きなんじゃないか〜って。それにSarahと並んでインディスピリッツを強く感じさせるSundayレーベル自体もより一層輝いて見えたのです。

そしてさらにしばらくしてバンド名をInstaというパッとしない名前に変更し、1stアルバムと同時に再リリースされたのが今作なわけです。1stフルアルバムは意外にもフォーキーで少し枯れた感のあるノスタルジックで素朴なギターポップ。それはそれでもちろん素晴らしいのだけど、このシングルはバンド色が強くて弾けてる曲が多いから、好きな人は多いはず。

なんと言ってもドライブ感のある1曲目。個人的にはカーディガンズのRise & Shineと並ぶ疾走ギターポップの名曲だと思ってます。この再リリース時に出ていたカナダのペーパームーンにも通じてる疾走感。今聴いても全然リアルタイムのバンドに引けをとらない完成度だなって思うのです。♪How many perfect pop songってサビで歌ってるのですが、この曲こそパーフェクトなポップソング。仕事でどんなに疲れて帰ってきても、これを聴いたらもうちょっと頑張ってみるかと勢い付けられたりするんです。

2曲目の"Nitelite"はホーンアレンジ、UKギターポップにも通じるメロディラインがたまらない。4曲目の"Jazzed Up"はアコギのイントロから切なさが漂っていて、 スウェーデンのシナモンにも通じてる。ラストはとても歌謡曲っぽくてちょっと恥ずかしくなるくらいです。♪to you, to you〜 って超キュートに歌い上げています。

にしてもほんと、バンド名をコロコロを変えやがって…!
でもジャケがメガネだからそんなことはどうでもいいです。


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